あぶちゃん日記

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zoom RSS 山小屋で食べたラーメンの味

<<   作成日時 : 2016/01/12 13:32   >>

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5日目のビバークは最悪だった。
吹雪の谷と岩壁は雪崩の起こす大音響の連続で、谷筋は白い大蛇がのた打ち回っているようだ。

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立木にロープで身体を固定しているから好いものの、間断無く落ちてくるチリ雪崩に、座っている腰が徐々に押し出されて岩壁から落とされそうだから、常に整地をしなければならなかった。それに加えてオプティマスのガソリンコンロが壊れてしまった。仕方がないのでコンロの蓋に三角巾を詰めて、直接ガソリンを入れて火を点けたが、物凄い炎に手こずりながら飲料水を作った。
こんな事も想定していたから、三人の主食はベーコンのブロックを4キログラムを携行していた。
そして7回のビバークの後、つまり入山してから8日目の午後、念願の甲斐駒ケ岳山頂に立つことが出来た。
もうこれ以上苦しまなくて好い、これ以上登らなくても好かった。
感動に浸っているよりも、早く地獄から脱出して下界に降りたかった。
駒津峰にデポしておいたブランデーを飲むと、冷え切っていた身体が温まり無性にラーメンを食べたい衝動が三人を襲った。
ラーメンを食べてから一気に家まで帰ろうと、山小屋に立ち寄った。

 すみませんが酢を入れないラーメンを食べさせてください。

前回、歩荷の折に立ち寄ってご馳走になったラーメンの味が酸っぱくてカビ臭かったから、食べられなかったのだ。
相棒の一人は、管理人さんは俺たちが疲れているから、疲労回復に酢を入れてくれたと言いながら三人分のラーメンを全部食べてしまったが、体調には何の変化もなかった。

 酸っぱいラーメンなんか此処では作らないよ。
 今日管理人が交代して、食料も歩荷してきたんだ。
 倉庫のラーメンは青カビが生えていたから捨てたところだよ。

青カビの生えていないラーメンは実に旨かった。
腹ごしらえが済んだから、さぁ帰ろうということになった。
このまま歩き続ければ零時前には家に帰り着くことが出来る。

 淋しいから話し相手に泊まってってくれないか?
 金は要らないから。

急いで帰るより、此処で寝て行こう。
予備日はまだ三日もあるのだから、という事で好意に甘えることにした。
今夜は久し振りに身体を横たえて寝られると思うと嬉しかった。
今どき山に登る人は皆無だから、小屋の中は冷え切っていて天井も壁も霜でビッシリと白く覆われた部屋は冷凍室さながらだった。
仕方がないので部屋の中にテントを張って寝たが、数日振りの素晴らしい寝心地だ。
翌朝、携行していた2sほどの残ったベーコンのブロックをはじめ、余分になった食料、酒類をプレゼントして、そうは言ってもと…

 あの〜宿泊料は?

 そうだな。一人2千円も貰っておくか。

昨晩宿泊料は要らないから泊まっていってくれって言ったじゃないですか。と声に出かけたが、まぁシャ〜ネ〜か。
こんな事ならあのまま帰った方が好かったな。
あんな冷凍室で寝るくらいなら外の方が好かったなとぼやきながら、冬期初登攀の喜びを噛みしめつつ、石ころだらけの戸台河原を下り続けた。

昨日、嘗て甲斐駒ケ岳の岩壁を一緒に登った旧友が訪れてくれて、当時の想い出話に花が咲いた。

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