あぶちゃん日記

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zoom RSS 甲斐駒ケ岳赤蜘蛛物語 <負けてたまるか!>

<<   作成日時 : 2011/08/28 04:31   >>

驚いた ブログ気持玉 6 / トラックバック 2 / コメント 1

恐竜カンテに抜ける手前…
そう、あのアブミビレーの所だ。
河西公子を迎えるべく、井上進はカンテ(岩角)上に立って確保している。
あと三メートルも登れば、彼女は井上進の所に到達する…はずだった。
彼女の動きが突然止まった。
止まったというよりも動けなくなってしまったのだ。
彼女の引っ張ってきた余分のザイルを下方に辿っていくと…
きちんと整理しておいたはずのザイルが、何故かクラックの中に吸い込まれていて、引掛かってしまったらしい。
いくら引いても動かない。
まるでギターの弦のようにザイルは張りきっていた。
固定ロープで降りようとしたが、<確認ミスの固定ロープ>は40メートルのために10メートル足りなくて、現場に到達するのは不可能だった。
登攀続行が不可能になってしまった、さて…

こんな状況下にもかかわらず冷静でいられるのは何故なのだろう。
こんな時の判断は即決が必要だ。
迷いは更に大きな迷いを呼ぶし、此処までだって不安感でいっぱいの河西公子がパニックに陥る可能性も十分に考えられた。

『クライミングを止めて下るよ』

『えっ! どうやって降りるの?』

河西公子の顔がひきつった。

『どうって事ないさ、まっすぐ降りればいいんだから。トレーニングどうりにすれば何も心配ないよ』

さて、ザイルの操作はどうしようか?…
今まで、あんなに味方についていてくれたダイヤモンドフランケの機嫌を損ねたのかな?
そうなの?と問いかけるように岩肌を見つめると、その瞬間、目の前の固定ロープが風に揺れた。
そうか!分かったぞ!下らなくてもいいんだ。
今まで使用していたメインザイルを外して、固定ロープを使えばいいのだ。
何故か此処でもダイヤモンドフランケが指示してくれたような気がした…

固定ロープの下末端を手繰り寄せて輪を作り、河西公子の元へ送り届け、メインザイルと交換するのだが、谷底から300メートルの絶壁の真っ只中の作業は、一つ間違えば奈落の底に飲み込まれることは間違いない。
井上進の脳裏に、この四十年間に何十回となく夢に見続けてきた、墜落シーンが克明に映し出されてきた。
長い長い時間空中を落下する…
谷底の岩盤が近ずいてくる…
岩盤に激突!…

彼女は必死の形相ながら冷静沈着に作業をこなしている、さすが大陸で生き延びてきただけの肝っ玉を持っていると感心しながら眺めている井上進だった。
蠢く大蛇のように、空中を落下して行く外されたザイルを、複雑な気持ちで眺める…
さぁ、あれこれ考えても仕方がない、登る事に集中しよう。

河西公子は意を決して登り始めた。
しかし、彼女の握力の限界が近くなってきている事は、見ていてはっきりと分かる。
自分の非力さに涙を浮かべた悲痛な表情…
自分の非力さを怒った目尻の吊り上った険しい表情…
そんな自分の弱さを絶対に認めたくない…
ヘルメットを岩壁に埋まらんばかりに押し付け、自分と戦っている彼女の心が痛いほど伝わってくる。

『行きます!』

心の葛藤に踏ん切りをつけた彼女は、闘志満々のクライマーの表情に変わった。
四十年前の状況とまったく同じ光景を見る井上進の頬に、感動の涙が流れる。
報道班のカメラマンやガイドたちは、何時でもサポートしてくれる体制になっているが…
決して弱音を吐かず、登る事だけに集中している彼女の姿に唖然とするばかりで、手出しなどすれば返って彼女に対して失礼な行為になると思わざるを得なかった。

9月19日 PM 6:10〜6:45 NHK総合 ホリデードキュメンタリー『スーパー爺(じい) 絶壁を登る』仮称

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
我々が上部テラスで5時間以上待っていた間に、すごいドラマがあったんですね。
垂壁を上り始めた際に撮った写真にはお二人のファイト満々の表情が写っています。また、上部テラスから撮影した写真を拡大すると、河西公子さんから垂れ下がったザイルが岩の割れ目に挟まっているのがよく分かります。(メールで送りましたので確認下さい。)
きよの
2011/08/28 07:03

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